Chips - no.35「クラスでの彼女」
勉強ができ、運動もそこそこできる。かといって何かのクラブに所属しているわけではない。
彼女は多くのことを努力をしていたが、その努力がどこに向けられているか、黒崎リョウはまだ知らなかった。
彼女はあまり目立たない生徒で、そうなることを望んでいる風でもあった。
けれど、1つだけ矛盾する癖を持っていた。
ノートでもテストの答案用紙でも、自分の名前をずいぶんと大きく書くのだ。決して間違えるな、という風に。
それに気づいて、なんだか子供っぽくて微笑ましいなと、黒崎リョウは思った。
.
Chips - no.34「ゲーム機」
多くの子供たちにとっては、所有していることが当たり前な娯楽機器。ある少年にとっては、友だちを作るための重要アイテム。父から贈られたとても大切なプレゼントでもあった。
それを手にしたとき、少年は初めて、最新の携帯ゲーム機は動かすのに乾電池がいらないのだと知った。けれど父はどこかで古い情報を聞いていたのか、ゲーム機に単3乾電池の12本パックを添えて彼に渡していた。
.