まえがき

「3D小説」のページに、ようこそ! 3D小説とは、インターネット上で公開されている小説です。 岡田アユミと黒崎リョウ、2人の視点で描かれた「小説パート」と、少年ロケットと読者たちがTwitter上でやりとりする「現実パート」で主に構成されています。…

Chips - no.50「黒崎リョウのその後」

本名、黒崎良。背が高く、脚の長い青年。 一連の事件の後、黒崎良は、まず警察に出頭した。警察はすぐさま、組織に残っていた情報を整理し、彼の事情を正確に把握した。その後、彼は罪に問われることとなった。 現在、彼は必要な手続きを終え、社会復帰して…

Chips - no.46「黒崎正吾のその後」

一連の事件の後、黒崎正吾は、まず警察に出頭した。警察はすぐさま、組織に残っていた情報を整理し、彼の事情を正確に把握した。その後、彼は罪に問われることとなった。 現在、彼は必要な手続きを終え、社会復帰している。 京都の簡素なアパートで、愛息子…

Chips - no.40「白いペンダント」

黒崎が大切にしていたペンダント。 彼はそれを、10年前の約束をした日から、4年前のある日まで、ずっと首から下げていた。 ある日を境にペンダントを外したのは、自分にはそれを下げる資格がなくなったと思ったからだ。少女との思い出を汚すようなことはし…

ホームページ(最終版)

このブログは、インターネット企画「3D小説」のために用意されたものです。 当「3D小説」はグループSNEの公式twitterアカウント上で、企画責任者である「少年ロケット」が開催いたしました。 この企画は5月5日に、無事、「 Bad end 」の修正を終え…

Chips - no.38「クラスメイト」

このとき、黒崎と話したクラスメイトは3人。全員男子だ。 クラスで黒崎の次に身長の高いバスケットボール好き、勉強は得意でないが色んな名言を知っている漫画マニア、そしてその2人を取りまとめる、3人の中では一番背の低いツンツン頭。 3人には、それ…

Chips - no.37「吉川からのプレゼント」

モップの一件が終わったあと、黒崎は、優しいケーキ屋について彼女に話した。彼女はその話をずっと覚えていた。 黒崎の誕生日、彼女から彼へ贈られたプレゼントはホールケーキだった。小学生のお小遣いを考えれば、高価なものだ。 ケーキの上には、ホワイト…

Chips - no.36「獣医」

本名、伊藤継一。この時点で46歳。 腕は確かで、近所のペットを飼っている人々からは一定の信頼を得ている。動物病院の2階は自宅だが、様々な資料で溢れている。彼は唯一、物が乗っていない、狭いソファーの上で眠っている。 彼が個人的に飼った動物は、こ…

Chips - no.35「クラスでの彼女」

勉強ができ、運動もそこそこできる。かといって何かのクラブに所属しているわけではない。 彼女は多くのことを努力をしていたが、その努力がどこに向けられているか、黒崎リョウはまだ知らなかった。 彼女はあまり目立たない生徒で、そうなることを望んでい…

Chips - no.34「ゲーム機」

多くの子供たちにとっては、所有していることが当たり前な娯楽機器。ある少年にとっては、友だちを作るための重要アイテム。父から贈られたとても大切なプレゼントでもあった。 それを手にしたとき、少年は初めて、最新の携帯ゲーム機は動かすのに乾電池がい…

Chips - no.33「付録屋」

トレインマンに必要な道具を渡す仕事。 通信販売の段ボール箱の側面、あるいは裏面を切って開け、必要な物品を中に入れて、再び閉じる。 その段ボール箱を目的の相手に渡せば、「付録屋」の仕事は終了だ。 採用条件のひとつは、他の付録屋の利用歴があること…

Chips - no.32「切符」

トレインマンが必ず、現場に残していくもの。 そこには共通の指紋が残されている。 トレインマン、あるいは組織にとって重要なのは切符ではなく、「共通の指紋が現場に残されていること」だ。 指紋は犯罪捜査や個人認証において重要視され、だからこそ組織は…

Chips - no.31「ジオラマ」

ある男性が制作した京都の街のジオラマ。 光徳公園を中心に、狭い範囲を精密に作り込んでいる。 街は変わってゆくが、ジオラマは変わらずそこに飾られ続けている。 back← .

Chips - no.30「切符切り」

トレインマンというキャラクターを成立させるため、切符に指紋を付ける仕事。 ある男が担当している。 彼は、組織の人間から「君にしかできない仕事がある」と声をかけられ、素直に従った。 切符切りは今、あるマンションに軟禁されている状態にある。 彼が…

It's A MIRACLE WORLD!

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Scene37

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Scene36

オーケイ! オレたちのハッピーエンドは、 こんなもんじゃねぇぜ!!! ちょっと待て。 いま絵に描いて説明するから! back← 共通 →next .

Scene35

ベレットに乗り込み、国道に出る。 ふいに、ポケットの中のスマートフォンが震えた。 組織か。 しかし、取り出し画面を見ると、そこには見知らぬ送信者名がある。 ――少年ロケット? 誰だ。迷惑メールか。 受信フォルダからメールを開く。簡潔な文面。 お前ら…

Scene34

「ごめんな」 としか、言えなかった。本当にごめん。 昔から、そうだ。 「オレ、間違えてばっかでさ」 吉川の目から、大粒の涙が溢れる。 ほらな。だから嫌だった。何も言わずに行きたかった。 オレは、彼女には、できれば笑っていてほしい。 「一緒に、いて…

Scene33 3/3

吉川が走ってくる。 妙に、納得した。あいつが走り出さないわけがない。 あのときだって、そうだった。吉川は、誰かのために走るんだ。 変わっていない。 そう思うと、たまらなく嬉しくなる。 でも。 何も話さずに別れようと思った。それが彼女のためだろう…

Scene33 2/3

公園の外にはベレットが待っている。 あの車は、オレを遠いところへ連れて行ってくれる。 遠いところ。向かうべき場所だ。 back← 全編 →next back← 黒崎 →next .

Scene33 1/3

吉川。 彼女は、吉川アユミだ。 間違いなく、絶対に。なぜ今まで気づかなかったのか。 予兆ならあった――いや、今となってはどうでもいい。 「黒崎くん」 吉川が。吉川が、オレに呼びかける。 とにかく、この世界で今、とんでもない奇跡が起こったのだ。 ――生…

Scene32 13:00 〜 2/2-fullheart 2/2

なぜだろう? すべて、知っていた。 少女が、ペンダントに伸ばす手の形。 少女が、ペンダントを胸の前で抱きしめる仕草。 少女が、ふとこちらに向ける瞳。 なぜ? 決まっている。 オレは目の前で起こった、とてつもない奇跡の名前を知っていた。 その少女の…

Scene32 13:00 〜 2/2-fullheart 1/2

黒い拳銃。 最初、コンビニで少女が呟いたとおり、ベレッタというのがその銃の名前だ。 少女を見つけると同時に、オレは迷わずベレッタを引き抜いていた。 気配に勘づいたのか、少女が顔をこちらに向ける。 その表情が、固まる。 まるで紐の絡まった操り人形…

Chips - no.26「方法」

Rule chips 目的を成し遂げるためには、それに応じた方法が必要だ。 例えばそれはじっと頭を悩ませることかもしれないし、とにかく足を使い、可能な限り動き回ることなのかもしれない。 「ある目的」を成し遂げるための方法は、1つだけではない。それまでの…

Chips - no.25「黒崎の行動原理」

彼の中には、2つの矛盾した思いがある。 それは「生きてるってことは、それだけで奇跡的に幸福なのさ」という父の言葉を信じようとしている彼と、どこかで否定している彼だ。 生きているだけで幸福だと信じる彼は、自身を生んでくれた両親を無条件で愛する…

Chips - no.23「みんな」

「彼女」と「彼」と、そして「みんな」。 この物語における主人公たち。「彼女」は唐突に巻き込まれた「トレインマン事件」により、悲劇的な死を遂げることが決まっていた。 そして「彼女」の悲劇は、同時に「彼」の悲劇でもあった。 けれど―― その悲劇は「…

Scene32 13:00〜 2/2-A

黒い拳銃。 最初、コンビニで少女が呟いたとおり、ベレッタというのがその銃の名前だ。 少女を見つけると同時に、オレは迷わずベレッタを引き抜いていた。 気配に勘づいたのか、少女が顔をこちらに向ける。 その表情が、固まる。 まるで紐の絡まった操り人形…

Scene32 13:00〜 1/2

最適を選んできたつもりだったのに、気がつけばずっと前から、望みは叶わない方へと進んでいた。 今まで間違い続けていたし、これから、また大きく間違える。 間違いを正せばきっと幸福な未来があると信じていた。でも、いつの間に、こんなところまで来てし…

Scene31 12:55〜

ベレットを走らせる。広さの割に交通量の少ない道だ。 昨日から何度か、子供の頃を思い出していた。 最近は考えないようにしていたのに、記憶とは些細なきっかけで湧き出すものらしい。 過去を見るのは嫌いだった。意識せずとも、彼女の存在が脳裏をちらつく…