2013-05-02から1日間の記事一覧

Scene11 02:20〜 2/2

PCが起動している。 なぜ? 画面の前で立ち尽くす。 あの少女がパスワードを入力したというのか? あり得ない。 だが、他に誰がいる。 あの、女性警官か? わざわざ戻ってきたのか? ――ひょっとすると、組織がとてつもなく無能で、トレインマンのPCすべ…

Scene11 02:20〜 1/2

バーで久しぶりに酒を飲んだ。少量をゆっくりと。だが頬は、ほのかに熱い。 ――あの少女は、もう部屋を抜け出しただろうか? 2時間弱、経っている。今頃は警察か。 彼女の話を聞いて、警察が動き始めるのはいつだろう。あまり余裕があるとも思えない。 部屋…

Scene9 00:35〜

さて、あの少女をどうするか。考えながら、リビングでデスクトップPCを起動する。仕事のために組織から与えられたもので、トレインマン以外は使えない。ロックがかかっており、パスワードが必要なのだ。 これの入力を失敗すると、色々とややこしいことにな…

Scene8 00:15〜

長く移動した後、少女を担ぎ込んだのはマンションの一室だった。 3LDK。組織がトレインマンの仕事のために用意した場所だ。一見すると特徴のない部屋だが、壁は音と電波を遮断する素材で覆われている。 洋室の一つ。家具すらないそこには、外から鍵が掛…

Scene7 00:00〜

車体を窮屈そうに揺らしながら、夜の小道をベレットが進む。 「危なかったわね」 と女性警官が言った。 「何が?」 「時間よ。リミットいっぱい」 一面差し替えのタイムリミットは、午前2時頃らしい。 もちろん午前2時の時点で、記者が一通り情報を揃えて…

Scene6 23:45〜 2/2

エンジンを切り、車から降りる。 あの少女と付録屋を挟んで、向こうに銃を構えた女性警官が立っている。もう、2人に逃げ場はない。 「あーあ」 妙に、気の抜けた声が聞こえた。 「ゲームオーバーか。上手くいきそうだったのにな」 付録屋だ。彼は、ズボンの…

Scene6 23:45〜 1/2

交番前に着いた。オレは近くの薄暗い小道に身を隠す。車はすぐ後ろに止めてある。 女性警官には、周囲を巡回してもらっている。 しばらく待っていると、反対側の脇道から、2人組がちらりと顔を出すのが見えた。あの少女と付録屋だ。 しかし、彼女らはすぐに…

Scene5 23:30〜 3/3

『緊急事態ですよ。トレインマンが出たんです』 付録屋がスマートフォンの向こうで叫んでいる。わけが分からなかった。そりゃあ出るだろ、電話がかかってきたんだから。 「おい、聞こえてなかったのか? オレは今、お前がどこにいるかと訊いたんだ。彼女はど…

Scene5 23:30〜 2/3

「仕事のために銃が必要なのよ。あ、仕事って、もちろんトレインマンの方ね」 一緒にベレットまで歩き、助手席に着いた直後、女性警官は告げた。トレインマンについて話すなら極力、人に聞かれない場所を選ぶべきだ。 「付録屋から買う予定だったんだけど、…

Scene5 23:30〜 1/3

裏路地から大通りに出たところで、見失った。付録屋も、彼女も。 くそ、と内心で毒づく。 この街は入り組んでいる。カーブと坂道で構成され、真っ直ぐ平坦な道はほとんどない。しかも夜の大通りには、酒臭い大学生やサラリーマンの群れが溢れかえり、捜索は…

Scene4 23:20〜 3/3

コンビニの制服を顔から剥ぎ取ったとき、既に彼女は走り出していた。 手を引いているのは……付録屋? なぜ、あいつが? わけがわからないまま、後を追う。 back← 共通 →next .

Scene4 23:20〜 2/3

「君も知っての通り、トレインマンは凶悪な犯罪者だ」 マニュアルに沿って簡潔な自己紹介をしながら、ベレッタの安全装置を外す。撃つ気はないが、外した、と相手に分からせるのが重要だ。 「たまには、良いことだってする。でもそれはスパイスみたいなもの…

Scene4 23:20〜 1/3

角に車を止めた。真上の街灯が、数秒に一度、チリッと音をたてて消える。 運転席から出て、車体に背中を預ける。コートのポケットに手を突っ込み、彼女が来るまでの間、大人しく待つことにする。 人通りが少ない裏路地で、音はない。視線を地面に落とすと、…

Scene3 23:10〜 2/2

何をするでもなく、ファミリーレストランの駐車場に待機していると、やがて付録屋からメールが来た。 可能性はあるな、と思っていたのだが、とはいえ実際にこうなると気が滅入る。 メールを開く。 『女がベレッタのことを知っていた』 顔をしかめた。よくな…

Scene3 23:10〜 1/2

ファミリーレストランの看板が目に入った。 その駐車場に車を停め、助手席の段ボールを手に取る。 例のベレッタは、確かにそこに収まっている。黒々とした銃身が、有無を言わさぬ威圧感を放つ。 こんなものを向けられれば誰だって怖ろしいだろう。オレだって…

Scene2 23:00〜

「はい。お支払い済みですね。こちらにサインだけお願いいたします」 マニュアル通り、付録屋が告げた。 レジから出されたレシートを受け取り、段ボール箱を机にしてサインを書く。「町田」。これもマニュアル通り、偽名だ。 オレの名はトレインマンであり、…

Scene1 22:30〜 3/3

トレインマン。 ふざけた名前だ。でも、頭に残る。意図的だ。 今の日本において、その名を知らない者はいない。テレビのニュース、新聞の一面、インターネットのトピックス。 どこにでも奴らはいる。いや、オレたち、か。 愉快犯、トレインマン。 まったく、…

Scene1 22:30〜 2/3

組織にとって、父が重要な理由は2つしかない。 指先にきちんと指紋がついていること。 それから、今まで警察に指紋データを取られるような事態に一度も出くわしてこなかったこと。 この、たった2つ。 オレにとっての父の重要性は、もう少しだけ違う。 オレ…

Scene1 22:30〜 1/3

どこかで、人生を大きく間違えた。 今のオレをみればわかる。間違えたのだけは間違いない。 もし愚痴っぽく聞こえたなら許してほしい。それは本意ではない。 確かにオレは現状にも、これまでの何もかもにも不満だが、少なくとも絶望はしていない。「生きてる…

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このブログは、インターネット企画「3D小説」のために用意されたものです。 当「3D小説」はグループSNEの公式twitterアカウント上で、企画責任者である「少年ロケット」が開催いたしました。 この企画は5月5日に、無事、「 Bad end 」の修正を終え…