Scene6 23:45〜 1/2
交番前に着いた。オレは近くの薄暗い小道に身を隠す。車はすぐ後ろに止めてある。
女性警官には、周囲を巡回してもらっている。
しばらく待っていると、反対側の脇道から、2人組がちらりと顔を出すのが見えた。あの少女と付録屋だ。
しかし、彼女らはすぐに引き返してしまう。
――付録屋は、何を考えているんだ?
少女の自宅をオレに教えたのも、手を引いて逃げ出したのも、逃亡先を連絡してきたのも。すべてあいつだ。矛盾している。
女性警官に連絡を入れる。
オレも彼女も、あの少女を殺す気はない。だがオレには少女を「説得」する必要がある。
ゆっくりと会話ができる場所が必要だ。
早足で車に戻り、エンジンを回す。一際大きな咳。
わかるよ。オレだって疲れているんだ。もう少しだけ頑張ろう、ベレット。
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