Scene28 12:15〜 3/5

 エレベーターを降りながら、女性警官の話を反芻する。
 もちろん組織を憎く思っていないはずがなかった。しかし、だからといって組織に刃向えるはずもない。
 ――父を守る。
 そのための最適解を考えれば、自ずと答えは出る。
 マンションを出たところで、ポケットのスマートフォンが震えた。
 メール。組織からだ。

 error-no.37が発生。
 貴方に貸し与えていた住居スペースを調査いたしました。

 ちっ、と舌打ちが出る。
 組織は問題の芽を摘むために、様々な保険を打っている。
 そのすべてをトレインマンが知らされているわけではない。当たり前だ。保険には、トレインマンの反抗に対処するものも含まれているのだから。
 メールの「error-no.37」とやらについて、オレは知らない。だが文面を読めばある程度理解できた。
 オレが身につけている発信機――その存在は知っている。充電をしているのさえオレだ――が近くにない状態で、あのPCが作動すると、組織にエラーが送信される仕組みになっていたようだ。
 岡田という少女がPCに触れた時、そのシステムは上手く作動したらしい。苛立ちと、焦りしかない。


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