Scene23 10:30〜 4/5
軽い朝食を終え、改めて、あの少女を思い出す。
オレは彼女を殺すのか、と考える。
――人を殺さないトレインマンが?
そう、誰かに尋ねられた気がした。
幼い少年の声だ。
できれば殺したくなんてないさ、とオレは返す。
――なら殺さなければいい。
もちろん、説得は試みる。でも、彼女はあの写真を見た。
――それが?
それが、とても重要なんだよ。人を殺さないトレインマンが、ついに人を殺すくらいに。大事なことだ。
――本当に? そんなに?
ああ。とても。
もしもそれが警察に知られれば、オレが今までやってきたことが、これまでの人生のほとんどが、無意味になる。
――説得が上手くいくといいね。
まったくだ。ただ、今は、その方法も思いつかない。
どちらにしろ早く、あの子を見つけよう。
話はそれからだ。
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