Scene23 10:30〜 5/5
少女の容姿は正確に情報化され、オレの脳内に収められていた。
白い肌、大きな目。そして彼女は、オレと最後に会ったとき荷物を持っていなかった。
逃げるにしても、いったん家に戻りたかったはずだ。あれでは、そんなに遠くまでは行けない。
今は、どこにいる?
友人の家を訪ねたか? とすれば、組織の力を借りないまま彼女の居場所を見つけるのは、少し時間がかかる。
組織――あれに連絡を入れようとは、まだ思えなかった。
オレは妙な幻に惑わされているだけなのかもしれない。だが、彼女が生き残る道を、完全に閉じたくはなかった。モップのことを思い出す。保健所を怖れていた頃に似ている。
だが、オレの仕事こそが本来、彼女を殺すことなのだ。
組織?
ふと、些細な可能性に思い当たる。
すぐにポケットからスマートフォンを取り出した。
アドレス帳を開き、電話をかける。
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