モップに出会って7日目に、良いことが2つあった。
1つ目は、犬小屋だ。
前日に作った自信作に、犬のイラストがついた便箋が貼りつけられていた。
――すごくよくできてるね!
と、その便箋には、可愛い字で書かれていた。
オレはずいぶん悩んで、短い返事を書いた。
良い気分で家に帰った時、2つ目が起こった。
うちのアパートの前に、ずいぶん古臭い自動車が停まっていたのだ。
オレが近づくと、その車の窓が開いて。
「よう。お前、リョウだろ」
と、髭面の男が言った。
もうまともに覚えていなかったけれど、皮膚でわかる。
それが、オレの父親だった。
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